楽天市場の独占禁止法違反で送料無料はどうなる?いつから?事例はある?
インターネットショッピングモール「楽天市場」に、独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会が立ち入り調査に入ったことで、今後どうなるのか不安の声が上がっています。
楽天市場は、2020年3月18日から、購入価格が3,980円以上を超えると一律送料無料にすると発表していました。
しかし、その送料を負担するのは出品者側ということもあり、不満の声が上がっていたのです。
購入者側にとってはとても嬉しいことですが、出品者側にとっては大問題・・・。
このことが独占禁止法違反にあたるということで調査に入ったのですが、送料無料制度はどうなってしまうのでしょうか?
過去に独占禁止法で調査が入った事例があれば、どのようになったのかも気になるところです。
本記事では、楽天市場の送料無料問題についてまとめています。
目次
楽天市場が一律送料無料を発表
インターネットショッピングモール「楽天市場」が、2019年8月に今後の送料無料計画を発表しました。
送料無料になるのは、購入者側にとってはとてもありがたいことですよね。
お店によっては1000円近くの送料を取ることもあり、ほしいけど送料が高いために諦めてしまう方もいたのではないでしょうか。
しかし、この送料無料は楽天市場が負担するわけではありません。
出品者側が負担する必要があるため、不満の声が上がっています。
楽天市場はいろいろなお店がありますが、個人でお店として出品している方もたくさんいます。
楽天市場の意向で勝手に送料無料を決められてしまっては、出品者側もリストラや閉店しなくてはいけない、商品の値段をあげなくてはいけない・・・と頭を抱えている模様・・・。
送料無料になるのはいつから?
楽天市場が送料無料を発表したのは、2019年8月です。
実際に実施されるのは、2020年3月18日からと言われていました。
それまではこれまで通り、それぞれのお店によってかかる送料が異なります。
ただし、送料無料に関してはなくなる可能性も出てきてしまいました。
送料無料になる条件は?
もし仮に、送料無料が2020年3月18日から実施された場合。
どのような条件で送料無料になるのでしょうか?
楽天市場が発表した条件は、3,980円以上の買い物で一律送料無料となります。
お店によっては、もともと送料無料にしていたところもあります。
場合によっては、5,000円以上、10,000円以上の購入で送料無料という条件付きのところもありました。
そして、楽天市場が発表した送料無料制度は、どのお店でも3,980円以上購入すれば送料無料にする!ということなんですね。
購入者側にとっては10,000円以上で送料無料だったハードルがぐっと下がるのでかなり助かります。
しかし、この送料というのは楽天市場が負担しているのではなく、出品者側が負担をしています。
利益を考えて、金額を設定した上で送料などをとっていたお店にとっては、一律送料無料制度を入れられると赤字になってしまう可能性が高くなるのです。
送料だけでなく梱包代もかかりますしね・・・。
結果、送料無料にするには商品代を引き上げなくてはいけなくなってしまうので、出品者側にとってはデメリットのほうが多くなってしまいます。
楽天市場に独占禁止法違反の疑いで調査が入る
購入者側にとっては大歓迎の送料無料システム。
しかし、出品者側にとっては大反対の送料無料システム。
結局どうなるのか・・・?と思った矢先。
2020年2月10日に独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会が立ち入り調査に入ったとニュースが出ました。
この独占禁止法違反というのは、正式名称が「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」といいます。
公正かつ自由な競争を促進、事業者が自分の判断で制限なく活動できるようにするための法律です。
簡単に言うと、不当な取引制限や不公正な取引方法をしていると、独占禁止法違反になる可能性があるということです。
楽天市場の場合、送料無料を出品者側に負担させる方向で発表していました。
これが不当な取引制限の部分に当たるのだと思います。
強要しているようなものですからね・・・。
楽天市場以外にも独占禁止法違反の事例はあった?
独占禁止法なんて言葉が難しいですし、不当な取引制限と言われてもあまりピンと来ないかもしれません。
実は、過去にも似たような事例がいくつかありました。
その中でもよりわかりやすいものを事例として、以下でご紹介しますね。
ハーゲンダッツの独占禁止法違反
調べていてちょっとびっくりしたのが、ハーゲンダッツの独占禁止法違反でした。
ハーゲンダッツといえば、アイスクリームの中でも高級品!という印象がある商品ですね。
2019年に価格改定があり、272円だったものが295円に値上げされました。
一般的なアイスクリームに比べるとお値段は高めですが、美味しさはお墨付き。
そんなハーゲンダッツも、過去に独占禁止法違反で調査が入っていたのです。
1997年、公正取引委員会から勧告を受けたハーゲンダッツジャパン。
その理由は、希望小売価格より安く販売しないよう小売店に呼びかけたことでした。
その上、定価以下で売るのであれば輸入はしない!と、並行輸入の妨害もしていたのです。
この行動が問題となり、独占禁止法違反で調査が入っていました。
その後、価格の強要や並行輸入の妨害を取りやめたことで、調査は終了したようです。
ハーゲンダッツってお店によって50円ぐらい値段が違ったりしますよね。
限りなく定価に近いところもあれば、定価以下で販売しているところもあります。
割引販売は続けられていますが、それでも値段が高い高級なアイスクリームというイメージは守り続けています。
Amazonの独占禁止法違反
こちらはまだ記憶に新しいかもしれません。
2018年3月、Amazonにも独占禁止法違反で立ち入り調査が入りました。
2017年頃より、商品の納入業者に対して、値引き分の一部を負担するよう求めていたのです。
さらに、利便性向上のためのシステム変更と称して、取引先に販売額の数%から数十%の負担を求めていました。
それだけではありません。
2019年2月にも独占禁止法違反で問題視されていました。
出品者からの商品やAmazonからの直販商品関係なく、購入した人に販売価格の最低1%分のポイントを付与すると発表。
付与するポイントを出品者に負担させると方向で進められていたのです。
まさに、楽天市場の送料無料問題とそっくりですね・・・。
そのまま、2月から調査は続き、2019年4月に調査が打ち切りになったと発表されています。
打ち切りになったのは、Amazonがポイントプログラムの方針を撤回したためですね。
出品者に負担させないようにする、これまで通り出品者の任意で付与する形にすることで収束しました。
Amazonの時に撤回したことで収束したということは、楽天市場も撤回してしまう可能性が・・・?
楽天市場の送料無料問題はどうなる?
2020年2月10日に独占禁止法違反の疑いで立ち入り調査が入ってしまった楽天市場。
それが関係しているのかは不明ですが、同日の15時30分頃よりシステムエラーも発生していました。
早い段階で復旧したものの、購入ができない、出品者側も発送通知を出せないというトラブルがあったのです。
そもそも、楽天市場がなぜ急に送料無料一律を発表したのか?
ライバル企業はたくさんいますが、その中でもAmazonは圧倒的に人気があります。
AmazonPrimeであれば送料無料やお急ぎ便などが利用できる等、使いやすさ、サービスなどが秀でています。
おそらく、Amazonに負けないように!という考えもあり、購入者をもっと増やそうと考えた結果が、一律送料無料にたどり着いたのかもしれません。
今回、立ち入り調査が入ったことで、送料無料がどうなってしまうのかが気になるところです。
過去の事例では、撤回したことで事なきを得ていました。
もしかすると、楽天市場も一律送料無料は撤回し、今まで通りでいくのかもしれません。
もしくは、楽天市場が送料を負担するという条件に変えてくる可能性もありそうです。
いずれにしても、購入者側だけでなく出品者側への配慮も考えてもらえれば、購入する側も利用しやすくなると思うので、今後の対応に要注目です。